奈良、大神神社
初めて大神神社(おおみわ じんじゃ)にお参りした。
大神神社最寄りの三輪駅は、奈良駅からJR桜井線で8駅南へ下ったところにある。
街を後にし、車窓はどんどん神さびた気色を増していく。ビルやマンションなど一つもなく、歴史を感じさせる土蔵がそこここに見える。
大和三山へと連なる山々は、ますます迫力を増していく。その先に日本最古と言われる大神神社の御神体、三輪山が鎮まる。
文明を、古代の力が圧倒しているように感じた。
このあたりは山がちだから晴天は少ないのだろうか、立ち込める雲は神威を感じさせる。
桜井線では乗降客が少ないこともあり、乗り降りできる車両は先頭車両に限られている。
それに気がつかなかった乗客が発車間際に出られる車両へ駆けていっていた。
駅を降りた街並みは、私の知っている東京や大阪や神戸などと同じ日本とは思えないような雰囲気だった。
時が完全に昭和のまま止まっている。NHK Worldで外国人レポーターが歩いていそうだなと思った。
参道を歩んでいくと、大神神社の社殿が見えてきた。その背後には、御神体の三輪山。
私がこれまでに参った神社の数々に比べても、圧倒される威厳があった。出雲大社もこのような古代の空気を纏っているのだろうかと考える。
大物主は、出雲大社の祭神として有名な大国主(オオクニヌシ)の、幸魂・奇魂(さきたま・くにたま)とされる神たが、まぁ、分身のようなものだ。
出雲の神である大国主は、天界から派遣されてきた少彦名(すくなびこな)をブレーンに、国土建設していた。
少彦名は体こそ小さいが、知恵者であり医薬の神としてもよく祀られている。
ある時大国主が、この少彦名に「お前はちっちゃいなぁ」言ってしまった。
気にしていたのか拗ねてしまった少彦名は、死後永遠の世界である常世(とこよ)に帰ってしまった。
1人では国づくりをできない大国主は困ってしまった。「これからどうやって国づくりしよう…」と嘆いていると、大国主の前に出現したのが大物主だ。
大物主は大国主の分身的なやつでは?そう、大国主の前に自らの分身が現れるのだ。「自分を大和の東の山に祀ってくれれば、国づくりに協力してやるぞ」というのである。自分に。
古代神話は超理論だから深く考えない方がいいです。そうして大物主を祀ったのが大神神社のはじまりだ。
ところで、酒屋さんの軒先に杉玉が吊るされているのを見たことがあるだろうか。
大神神社に祀られる大物主は、酒造の神でもある。そして杉玉は、三輪山に生える杉にちなんで、杉を玉にしてつるしたものだ。
茶色の枯れた杉玉から、青々とした新しい杉玉に吊るし変えられると、その年の新酒ができたという意味である。今回、昇殿参拝して三輪さまにご挨拶にできた。
また、お寺の写経のように大祓という祝詞を書き写す「写典」をした。時間が無く大祓全文を書く時間がなかったので、持ち帰って書き上げ、後日郵送するつもりだ。
おみくじを引くと、大吉だった。
また参ろう。