読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

次の国連事務総長③

国連

今回の事務総長選では、難民問題と国連機構の硬直化問題に全力で取り組む事務総長が切実に求められました。実は今回、事務総長の選出の仕方が変わったんです。従来は常任理事国が仲間内で不透明に決定していたんですけど、今回は候補者が公開演説をして誰が適任か判断する機会が作られました。最後は常任理事国が決めるのは変わらないんですが。相当な選出プロセスが透明化されたことは事実です。

 

誰が事務総長を決めるかというと、安保理です。その中でもP5と呼ばれる常任理事国です。P5は拒否権を持つため、どうしてもその国々の意向が最優先されます。彼らのうち一国でも嫌だと言ったら全てがおじゃんになるので、何も決まりません。日本もたしか現在安保理非常任理事国ですが、選挙という民主的な手続によって選ばれた非常任理事国の方が正統性があるはずなのに、現実は常任理事国にぜんぜん影響力が及びません。

 

200弱ある国連加盟国の中で、常任理事国である米英仏露中の5カ国は貴族です。今の制度のもとでは、未来永劫子々孫々と特権が受け継がれるのです。なんせソ連からロシアに、中華民国から中華人民共和国にと政府が変わると常任理事国の特権まで継承されるのですから。

国連憲法に当たる国連憲章では前文で各国の同権(the equal rights of nations large and small)を謳ってますが、どの口がいってるんやろな…?って感じです。ただ国連憲章を読んでも人権や世界平和が目的であって「民主主義」という言葉は使われていません。第二次世界大戦が終わり国連が立ち上げられた当時はソ連を中心に社会主義国が多かったですし、君主制の非民主的な国々もまだまだ多かったからですかね。

 

脱線しますが 'the United Nations' は日本では「国際連合」と訳されますが、中国では聯合国と訳されます。(簡体字が出ませんが聯の旁は関の門構えを外したやつです)

日本の国連憲章の公式訳でも、前文冒頭の"We the peoples of the United Nations determined……"

は「われら"連合国"の人民は、…を決意して、…」と訳されてます。第二次世界大戦中、枢軸国と戦争した連合国をそのまま継承したのが国連ですし。言葉的にもunitedがnationsに掛かってるので、中国語の連合国の方が正確だと思います。

 

要するに、第二次大戦戦勝国常任理事国(P5)が国連では制度上永久に決定的な特権を持つ貴族で、国連行政のトップである国連事務総長も彼らが決めるということです。今まではP5が密室でこっそり決めるみたいな感じでした。21世紀になってもなお。潘基文もそんな感じで選ばれたっぽいです。全く民主主義的正統性に欠きます。事務総長の選出には実質的に安保理が、そしてその中でも常任理事国が決めるという制度上の制約があります。そしてもう一つ、慣習上の制約があります。

 

国連事務総長選出の慣習上の制約とは、各地域でまわりもちすることです。たしか西ヨ欧その他、東欧、アフリカ、アジア、中南米です。「西欧その他」のその他にはカナダとかオーストラリアとか。アメリカは強すぎるのでどこにも属さない孤高の存在で一応「西欧その他」グループの会合にオブザーバー参加しているとか。d

 

ヨーロッパは東西に分けるわりにアジアをアフリカも分けへんの?と思いますがやっぱり世界はまだヨーロッパを中心に回ってるんだなーって感じです。事務総長だけでなくて、国連の重要ポストの地域配分はだいたいこの区分けでやってます。

 

あと地域ローテーションの慣習に加えて、大国からは事務総長を出さないっていう慣習もありました。大国間の対立からは中立であるべきなので。常任理事国じゃなくても常任理事国入りしようとしてるような大国である、日本やドイツ、ブラジル、インドあたりは空気的に事務総長をだせないと思います。ただ今回オーストラリアの元首相が出馬しようとしてたので、基準はよくわかりません。カナダはどうなんだろう。韓国もかなり発展してる方だとおもうのですが。

 

現任第8代の潘基文はアジア枠です。ちなみにアジア枠だと過去には第3代のウ・タント🇲🇲がいます。誰やねんって感じですがミャンマー人です。アウン=サン=スーチーもそうですがミャンマー人には名字がないです。ウ・タントはウが男性に対する敬称で名前部分はタントだけだそうです。タントさんって感じでしょうか。

 

事務総長は地域のまわりもちだったんですけど、これまでの8人の事務総長のうち事務総長を一人も出せていない地域がありました。東ヨーロッパです。

 

なので、今回は東ヨーロッパ人が有力視されてました。

 

加えて、初の女性事務総長を出そうという機運も強かったです。そもそも国連は男女の平等をかなり重視している上、現任の潘基文も、「わいの後任は女性がいいんでない?」みたいなこと言ってましたし。アメリカの大統領選でヒラリー・クリントンが再有力視されてた流れもあると思います。

 

ところが選ばれたのは、ポルトガル人で男性のアントニオ・グテレス🇵🇹でした。なぜでしょうか。